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#39303

平成30年 8月31日。
平成最後の夏の、最後の日。

今日僕は、6年一緒にいたヤツとお別れをした。

初めて出会ったときは、新社会人になる前だった。
就職活動に失敗し、社員登用を目指して入ったアルバイト。リーマンショックから1年後の僕らの就活は決してやさしいものではなく、1つ上の先輩たちが「内定取り消し」という社会問題に直面した後。僕らはそもそも内定が出ない環境に立たされていた。社会の荒波にもみくちゃにされ、満身創痍だった。

アルバイト生活に慣れて、1年半が経った2012年9月。
そのときに出会ったのが、君だった。

何を一緒に揃えるのか、どんな風に暮らせばいいのか、初めてのことばかりで戸惑うことも多かった。
それでも君は、どんな時でも僕の帰りを待っててくれた。

それからまた半年が経ち、2013年2月。
社員登用の話が来た。
嬉しかった。
君と喜びを分かち合えた気がした。

残業の多い仕事であり、就業時間の遅い仕事でもあったから、職場で始発を待つなんてことも珍しいことではなかった。
それでも君は、どんな時でも僕の帰りを待っててくれた。

 

 

 

 

 

君とお別れの時が来た。

2012年9月、初めての一人暮らしを迎えてくれた、
この部屋との。

 

 

 

 

 

仕事の関係で家にいる時間はあまりなくて、ガス請求額が1500円未満→翌月繰り越しになるなんてことはしょっちゅう。またズボラな性格が災いして、君に電気やらガスやら水道やらインターネットやらの供給が止まることもたくさんあった。

――‐家賃もやぞ。

ああ、そうね、ほんとよく怒られたね。

―――だから引き落としにせぇ言うたんに。

すいませんでした。

―――引っ越し作業も全然間に合わんで、梱包作業終わらんかったやん。

…はい。

結局家族と上司に迷惑かけとるやんけ。

…はい……。

そういうとこやぞ。

気を付けます…。

お前が選んだ新しいヤツのことはよう知らんけど、まぁ気ぃつけぇよ。

大丈夫、契約するときに最初に引き落としにしといたから。

なんで俺ん時やらんかってん。

ぐぅの音もでねぇわ。

―――掃除もろくにせんと、クソほど埃まみれにしよってからに。

6年間一緒に暮らしているだけあって、コイツには私生活は筒抜けだ。ヘタをすればどんな家族や友人よりも、僕のことを知っているだろう。

今なんでシカトしてナレーションいれたん。

いやもうごめんなさい以外何も出てこなかったから。
もういいかなって。

なんやコイツ。

ていうかこういう時ナレーションすんの俺ちゃうんか。

君うるさいじゃん。

CMで見たで。「君の頑張りを誰よりも知ってるよ」みたいなやつ。
スーm

はい、はい、そうだね。そうだね。

お前はあれやな。えー……

……日々、生きてたな。

最低限すぎんだろ。

頑張ったな。

雑すぎんだろ。

―――まぁ、引っ越し終わって最後に大掃除して
綺麗にしたのだけは褒めてやるわ。

お、ありがとう。

窓だけで雑巾3枚使い捨てたんは驚愕したけどな。

大通り沿いだから許してほしいんすけど。

日々の掃除してないヤツが何言うとんねん。

君絶対正論で俺を苦しめるよね。

最後やから言いたいこと言ってる感はある。

自覚あんのかよ。

………さて。
じゃあ、俺はそろそろ行くな。

あいよ。
…お前は、住む場所も変わった。

おう。

転職して、職場も変わった。

おう。

そして!

おう!

彼女もいなくなったな。

悲しみの3段活用やめろ。

まぁテキトーに達者で暮らせや。

あいよ。

最後に俺に言うことないんか?

それ君から言うの!?

ツンデレやぞ。

自己申告するヤツ初めて見たわ。

聞いててやるから。

じゃあ、まぁ、そうね……

はよせな。

はいはい、ええと……

「サンキュー、303。」

じゃあの。

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